住宅ローン借り換えの手数料と諸費用はどれくらい?

住宅ローン借り換えには手数料等の諸費用が発生します。通常、手数料・諸費用は融資額の3%程度になりますが、新生銀行、楽天銀行等ではもう少し安くなります。諸費用の大半は借入に上乗せして借りるので、現在の残高よりも借り換え先銀行での借入額は増えます。そのことを踏まえて借り換えによるメリットがあるかの判断をする必要があります。今回は、住宅ローン借り換えの手数料と諸費用について解説します。

住宅ローン借り換えの手数料と費用

住宅ローンの借り換えを行う場合、金融機関への融資手数料等の費用が発生します。ざっくり、「融資額×3%程度」の諸費用がかかると思っておいてよいでしょう(例外もあります)。以下、借り換えで必要な諸費用について解説をしていきます。

融資手数料、保証料

住宅ローンの借り換えで必要な費用の1つめは融資手数料や保証料です。借り換えに限らず、住宅ローンを借りる際は銀行には融資手数料や保証料を払います。これらは多くの銀行では2%程度になります。

たとえば、PayPay銀行、じぶん銀行、住信SBI銀行等では融資手数料が「融資額×2.2%」必要です。この場合住宅ローン金額が3,000万円なら、66万円の手数料が発生することになります。

みずほ銀行等では、融資手数料タイプと保証料タイプの2種類が用意されています。「融資手数料タイプ」では、やはり、融資額×2.2%の手数料が発生し、さらに保証会社の事務手数料として33,000円が発生します。保証料タイプでは、融資手数料は不要ですが、保証料が発生し、さらに保証会社の事務手数料として33,000円が必要です。保証料は借入期間によって異なりますし、人によっても変わる場合もあります(審査次第)。たとえば、借入期間30年の場合、最も安い保証料は、融資額の1.91%程度のはずです。

PayPay銀行、じぶん銀行、住信SBI銀行、みずほ銀行の例を見てきましたが、現在の主流は融資手数料として融資額の2.2%かかるというものです。これらよりも手数料がぐっと低くなる銀行は覚えておくとよいでしょう。

新生銀行の借り換え融資手数料

新生銀行の融資手数料は2パターンがあります。1つ目はPayPay銀行等と同じ、融資額の2.2%になるものです。もう1つは定額55,000円になるものですがこちらは金利が高くなります。借り換え用の変動金利は融資手数料2.2%だと0.35%、定額55,000円だと0.60%となるので、両方のパターンで計算し自分にとってどちらが得かを判断する必要があります。なお、2022年9月現在、定額型の融資手数料はキャンペーンにより0円となっていてさらにお得です。

借り換えを検討している人は新生銀行は必ずチェックするようにしましょう。

イオン銀行の借り換え融資手数料

イオン銀行の融資手数料は2.2%ですが、定額型というプランもあり融資手数料は定額で110,000円になります。ただし金利は一般のもの(定率型)と比べて0.2%高くなります。両方のパターンで計算し自分にとってどちらが得かを判断する必要があります。イオン銀行は借り換えランキングで上位に来ることが多いです。定額型は金利も高く、金利ランキングでは圏外になることが多いですが、手数料まで含めた実質金利のランキングでは、融資額が高額になる人は特に、上位に来る場合もあります。

楽天銀行の借り換え融資手数料

楽天銀行の特徴は融資手数料が330,000円で定額という点(保証料は0円)。融資額が大きい人にとっては融資手数料が他行と比べて得になります。

融資額1,000万円だと33万円の融資手数料は3.3%(33÷1000)になってしまいますが、融資額が3,000万円だと33万円の融資手数料は1.1%(33÷3000)と率にすると低くなります。融資額9,000万円だと0.36%(33÷9000)まで下がります。 変動金利0.537%は金利ランキングの上位には来ませんが、融資額が大きい人にとっては、融資手数料を踏まえた実質の金利ランキングでは上位に来ることが多いです。

ソニー銀行の借り換え融資手数料

ソニー銀行の融資手数料は2.2%と、一般的な手数料体系ですが、もう1つ、定額44,000円のプランもあります。ただし定額44,000円のプランだと金利は高くなります。変動金利だと融資手数料2.2%の場合、金利0.447%ですが、定額44,000円のプランだと0.807%になります。両方のパターンで計算し自分にとってどちらが得かを判断する必要があります。

京葉銀行の借り換え融資手数料

京葉銀行は保証料タイプしかありませんが、その保証料が0円と格安。さらに、がん保障団信を金利上乗せなしでつけることができるという特徴もあります。ただし金利自体はそこまで低くないのでランキング上位に来ることはありません。借り換えというよりは、新しく住宅を買う際、手持ち資金があまりない人には重宝される銀行です。

抵当権設定登記の登録免許税

住宅ローン借り換えで必要な諸費用の2つ目は、抵当権設定登記の登録免許税。住宅ローンを組むと抵当権設定登記を行います。建物と土地に担保権を設定することで、万一、住宅ローンの返済が滞った時には、銀行は、それらを競売にかける等して貸したお金を取り戻すことができます。

抵当権設定登記を行う際、登録免許税が発生し「融資額×0.4%」必要です。住宅を購入するときは特例で融資額の0.1%であることも多いですが、借り換えの際は0.4%となります。3,000万円借りるなら12万円、5,000万円なら20万円となります。抵当権設定登記は司法書士に依頼をするので、後述する司法書士報酬と合わせて司法書士に払います。

抵当権抹消登記の登録免許税

住宅ローン借り換えで必要な諸費用の3つ目は、抵当権抹消登記の登録免許税です。借り換え先の新しい銀行に、抵当権設定を行う際には、旧銀行の抵当権を抹消されている必要があります。抵当権抹消登記にも費用がかかり、不動産1つにつき1,000円の登録免許税がかかります。土地1筆、建物1つなら2,000円ということです。

司法書士報酬

住宅ローン借り換えで必要な諸費用の4つ目は司法書士報酬です。旧銀行の抵当権抹消登記を行い、新しい銀行の抵当権設定登記を行うのは司法書士になりますが、彼らの報酬や手数料が必要です。借り換えに関する司法書士報酬は10万円~15万円くらいではないかと思います。

なお、司法書士は借り換え先銀行が指定する司法書士が担当します(自分で見つけてきた安い司法書士に依頼するということはできません)。借り換えをする際は、旧銀行で抵当権抹消の準備ができているのを司法書士が確認→新銀行に融資OKの連絡を出して旧銀行にお金を振り込む→旧銀行でお金が振り込まれたのを確認し抹消に必要な書類を司法書士がもらう→法務局に行って抹消登記をして、そのまま新銀行での抵当権設定登記を行う、という流れになるのが一般的です。

この流れの中で、新銀行は「旧銀行の抵当権が抹消されていないのにお金を振り込む」ことになります。これは新銀行にとってはリスクある行為(お金を振り込んだのに旧銀行の抵当権が抹消されなかったというのは悲劇)なので、自社が指定した信頼できる司法書士に行わせるという理由があります。

繰上返済手数料

住宅ローン借り換えで必要な諸費用の5つ目は旧銀行への全額繰上返済手数料。借り換えをする際は、旧銀行の住宅ローンを全額繰上返済をする必要がありますが、その際に手数料が必要です。一般的な銀行では一部繰上返済は無料ですが、全額繰上返済をする場合には数万円の手数料がかかります。

たとえば三菱UFJ銀行では33,000円(窓口)となっていました。この例のように数万円のところが多いですが、金融機関によっては高額になる場合もあるので必ず、借り換えを検討する際には確認するようにしましょう。

経過利息

住宅ローン借り換えで必要な諸費用の6つ目は経過利息です。これは旧銀行での住宅ローンの返済日から全額繰上返済をする日までの利息を日割りしたものです。一般的にはそこまで大きな額にはなりませんが、ボーナス返済をしていると、この経過利息も高額になることもあります。たとえば住宅ローンの前回のボーナス返済が1月27日で、住宅ローンの借り換えを6月20日に行うとなると、5か月弱分の利息が発生するので、それなりの金額になるはずです。後述するように経過利息は借入には含めることができず自己資金でカバーする必要があるので注意が必要です。

借り換えでは手数料・諸費用を上乗せしても金利は変わらない

住宅ローンの借り換えでは、通常、諸費用を上乗せして借りることが多いです。融資手数料や登記費用(司法書士報酬含む)などは借入に含めることができる、というのが一般的。逆に、繰上返済の手数料や経過利息などは含めることができないというのが一般的で、これらの費用は現金で用意する必要があります。

住宅を購入する際の住宅ローンでは、住宅購入に関する諸費用を上乗せして借りると金利が高くなったり、諸費用部分は住宅ローンではなく諸費用ローンという金利が高い別商品を契約する必要があったり、します。

一方、借り換え時に、融資手数料や登記費用を上乗せして借りる場合、金利が高くなることはありません。これらの費用は、安心して上乗せして借りるようにしましょう。

手数料や諸費用を踏まえ、借り換えでお得になる銀行を選ぶやり方については、新生銀行住宅ローン借り換えキャンペーン金利(2022年)にて例を挙げて解説しています。

まとめ

住宅ローン借り換えの手数料・諸費用は通常、融資額の3%程度かかると考えられますが、新生銀行や楽天銀行など融資手数料が定額で安くなる場合にはもう少し手数料率は低くなる可能性もあります。住宅ローン借り換えでは、これらの諸費用は借入に上乗せするのが一般的。借り換えでの銀行比較では、金利だけでなくこれら手数料等の諸費用も加味して計算する必要があります。

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