住宅ローンの審査に落ちる理由は?

住宅ローンの審査は色々な項目を総合的に評価して決められるものです。自分自身で確認できる、住宅ローンの審査ポイントをまとめます。プロから見て意外と多いと感じるのは「クレジットカードや携帯料金の延滞」です。

審査に通るかまずはここをチェック

住宅ローンの審査で銀行が特に気にするポイントとしては、年収、返済負担率、年齢、勤続年数等が挙げられます。返済負担率というのは、住宅ローンの年間返済額と年収との比率で、年間返済額÷年収で計算します。各銀行の返済負担率は公開されていませんが、フラット35に関しては公開されています。それは以下のようになります。

年収

400万円未満

400万円以上

基準 30%以下

35%以下

 

審査の際の金利は、フラット35などではその時の金利(適用金利)ということもありますが、審査用の金利は別途基準を作ってその金利を基に返済額を計算しているところが多いです。例えば変動金利の金利が0.625%だとしても審査の時の金利は4%や2.475%等の審査金利を利用して計算する、ということです。

なお細かく言うと、この返済負担率における年間返済額には今現在の借金の返済額も含まれます。例えば自動車のローンやクレジットカードのリボ払い、携帯電話料金の割賦払いなどの金額も含まれているということです。

返済負担率の他には勤続年数等をチェックされます。勤続年数や完済時年齢等が銀行の指定する範囲内かどうかは、ホームページ等で確認できるのでそこはまずチェックします。なおフラット35は勤続年数については甘いので転職したばかりという人でも利用できることが多いです。

クレジットカードや携帯の延滞が落とし穴

住宅ローンのコンサルティングをしているプロから見て、審査で落ちる原因として多いのが「クレジットカード等の返済履歴に問題がある」という点です。

カードローンや消費者金融、キャッシング等の借入の合計額が年収の1/3以上ある場合は、審査の対象にならずに落ちてしまいます。そこまで借入が多くなくても借金の返済の延滞があったり、クレジットカードの支払いが遅れていたりする場合には審査で落ちてしまう原因になります。一般的に3か月以上の延滞があるとその後きっちりと完済していてもその後5年間は融資を受けられなくなります。

特に注意したいのは、携帯電話の代金です。携帯は機種の代金を分割払い(割賦払い)にして電話料金等とまとめて毎月払う場合が多いですが、機種の代金の支払いも借金の一種です。携帯電話の代金を払い忘れている場合には借金の返済を延滞している、とみなされます。

これらは個人信用情報機関に問い合わせる(各機関1,000円×3つの機関があるので3,000円かかります)ことで確認できるので、自分の個人信用情報に問題ないかは住宅ローンコンサルティングの最初のステップでチェックしてもらっています。

銀行によって違う審査基準

審査項目はその他にも勤務先(上場企業だと有利)や物件の担保評価(中古住宅購入時や借換えの際)、健康状態(団信に入れるかどうか)等もあります。銀行によっては子どもがいると審査で不利にしているというような場合もあります。最初に述べた年収等の基準も含めて、銀行によって審査基準はまちまちで総合的に審査されます。

信託銀行系は金利が低い割に審査が厳しいという印象があります(信託銀行は優良顧客のみに絞ってお客さんを集めたい、というニーズがあります)。フラット35は転職したばかりの人でも借りやすかったり、パートの妻の収入を収入合算の対象にできたり、と一般的な銀行よりも審査の面では使いやすいと感じるケースも多いです。

まとめ

住宅ローンの審査基準は公開されていないのでやってみないと分からないという点はありますが、個人でできる対策としては各銀行のWEBサイトに載っている条件に当てはまるかどうかのチェック、返済負担率のチェック(とりあえずはフラット35の基準を他の銀行の場合でも使ってしまってよいと思います)はできると思います。また個人信用情報の問合せも行っていただく方が安心できます。

私たち住宅ローンのプロは経験則から各銀行の審査の状況のざっくりした傾向は分かります。やってみなければ分からないというのが大前提で、審査が厳しめの銀行を利用する場合は、その銀行だけでなく第二希望、第三希望の銀行も合わせて申し込みをすることで保険をかけておく場合が多いです。

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