年収500万円の人、住宅ローンはいくらまで借りられる?

自分が借りられる住宅ローンはいくらなのか、気になる人は多いと思います。借入可能額の審査では主に返済負担率と審査金利という2つが重要になってきます。年収500万円の場合、一般的な銀行では3,500万円程度、フラット35なら4,500万円程度までは借りられることが多いです(他に借入がない人で借入期間35年の場合)。今回は年収500万円の人はいくらまで住宅ローンを借りることができるのかを検証していきます。

住宅ローンはいくらまで借りられるか?

年収500万円の場合、一般的な銀行だと3,500万円程度までは借りられることが多いはずです(借入期間35年とした場合)。年収の約7倍ということになります。住宅ローン以外に借入がない(車のローンやクレジットカードの分割払い等がない)前提での計算です。

住宅ローンの借入可能額を計算する際は、「返済負担率」と「審査金利」の2つの意味を理解しておく必要があります。

住宅ローン審査での返済負担率とは

返済負担率とは年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合のことです。年間返済額÷年収で計算します。たとえば年間返済額100万円、年収が500万円とすれば、返済負担率は100÷500=20%となります。

上記は住宅ローン以外の借入がない前提です。もし上の例でたとえば車のローンで年間20万円の支払いがあったとすれば、住宅ローン100万円+車のローン20万円の120万円÷500万円=24%になるというようなイメージです。

銀行の審査ではこの返済負担率を計算し、たとえばこれが35%以内ならOK、30%以内ならOKというような基準が定められています。返済負担率の上限が年収によって変わるようなこともあります(例:年収400万円以上なら35%だが、400万円未満だと30%になる等)。

住宅ローンの審査金利とは

審査金利というのは審査を行う上で使われる金利のことです。私たちが借りる、実際の金利とは異なるのが一般的です。たとえば、みずほ銀行の変動金利(最も条件のよい人に対しての金利)は2022年12月現在0.375%ですが、審査をする上での金利は0.375%にはなりません。審査金利がいくらなのかは公開されていませんが、3%~3.5%程度が多いのではないかと推測されます。

返済負担率の計算は「年間返済額÷年収」でした。「年間返済額」は審査金利を使って計算されます。3,000万円を35年で借りる場合の年間返済額は金利0.375%なら約91.5万円ですが、3.5%で計算すると約148.8万円です。年収が500万円だとすると返済負担率は前者だと18.3%ですが、後者だと29.8%(148.8÷500)となります。

このように高めに設定されている審査金利で年間返済額を計算し、それを基に返済負担率の審査が行われることもあり、思ったより住宅ローンが借りられない、と感じる人もいます。

年収500万円で審査金利3.5%、返済負担率35%だとすれば、借入可能額は3,528万円と計算されます。年収500万円、審査金利3.0%、返済負担率35%だと借入可能額は3,789万円となりました(いずれも借入期間35年とする)。

いくらまで住宅ローンを借りることができるのかはこのように、返済負担率、審査金利によって決まります。

フラット35だと年収500万円でも4,000万円以上借入可能

フラット35の審査金利はその時の実際の金利になると言われています。たとえば2022年12月ならば1.65%(融資率90%以下、21年以上の場合の最低金利)ということです(なお、フラット35Sの金利引き下げについては審査においては考慮しない)。

フラット35の返済負担率は公表されており、下表のようになっています。一般的な銀行とほぼ同水準と考えられます。

フラット35の返済負担率
フラット35の返済負担率

フラット35の場合、審査金利が一般的な銀行の住宅ローンよりも低くなるので、同じ年収でも借りられる金額は大きくなります。審査金利が1.65%、返済負担率35%とすると、年収500万円の人の借入可能額は4,650万円となりました(借入期間35年)。

一般的な銀行の例として、審査金利3.5%、返済負担率35%の場合と、審査金利3.0%、返済負担率35%の場合(上で計算したもの)と、フラット35を比較すると下表のようになります。

フラット35と一般的な銀行の借入可能額の比較
フラット35と一般的な銀行の借入可能額の比較

年収500万円だと一般的な銀行では3,500万円~3,800万円程度しか借りることができませんでした。もしたとえば4,000万円借りたい、という時にはフラット35ならば審査基準をクリアする可能性が高いと言えます。

年収と比べて借入額を多くしたい場合は、一般的な銀行ではなくフラット35を選ぶことを考えてみましょう。借入可能額を増やすには、借入期間を36年以上にできる銀行を選ぶ、配偶者との収入合算を考える等の方法もあります。フラット35では年金収入の親の年収を合算すること等もできます(ただし連帯債務者になる)。

無理のない借入額はいくら?

以上説明してきたのは、いくらまで借りられるか、という話でした。注意すべきなのは「借りられる金額(銀行が貸してくれる金額)」と「借りてよい金額」は異なるという点です。

年収500万円の人は3,500万円程度まで借りられるのが一般的という話を書きましたが、実際に3,500万円を借りてよいのかはきちんと考える必要があります。「借りてよい金額」に関しては、たとえば

・返済負担率を20%以内にすると無理のない借入額になる

・年収の5倍程度までにおさえておくべき

など、過去の経験則から導かれた目安が雑誌やWEBコラムでは見られます。

年収500万円で返済負担率20%以内だと年間返済額が100万円、毎月返済額で約83,000円となります。金利0.375%で考えると(ここでは審査金利ではなく実際の金利で考えてよいでしょう)、3,260万円が借りてよい金額となります。

年収の5倍程度なら、年収500万円×5倍=2,500万円が借りてよい金額となります。

こういった目安となるものはありますが、これらはあくまで目安です。私がコンサルティングを行う際は、家計の分析をして借りてよい金額を考えていきます。感覚的には年収の5倍というのは小さすぎる気がします。返済負担率20%以内というのも少し小さいかなという感じです。

まとめ:年収500万円の人が借りられる住宅ローン金額は?

今回は年収500万円の人が借りられる住宅ローン金額について考えてきました。借入可能額を決める要素では、返済負担率と審査金利が大事になってきますが、一般的な銀行の場合、年収500万円なら3,500万円~3,800万円程度までは借りられるはずです。フラット35だと4,600万円程度までは借りられるはずで、これだと年収8倍以上借りられる可能性があるということになります。なお、自動車ローン等、他に借入がある場合は挙げた数値よりも小さくなるのでご注意ください。また、借りられる金額と借りていい金額も異なりますので住宅ローンの専門家やファイナンシャルプランナー等に相談してみるとよいでしょう。

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