元利均等返済と元金均等返済の違い、メリット、デメリット
住宅ローンの返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。一般的には「元利均等返済」の方が多く使われますし、金融機関によっては「元金均等返済」がない場合もあります。ここでは元利均等と元金均等をどう選べばいいのか、考え方をまとめます。住宅ローンを勉強している人ほどこの2つのどちらがいいかを悩む人が多いのですが、住宅ローンのプロである我々から見ると、正直なところ優先順位は低いお悩みです。それより住宅ローンを3,000万円で組むのか4,000万円にするのか、といった方できちんと考えてほしいですし、銀行の選択を間違いない(表面上の金利が低いかどうかで判断するのではなく、手数料や優遇条件の違いを加味した実質金利でベストな金融機関を選ぶ)方が優先順位は高いのです。
元利均等返済と元金均等返済の特徴、違い
住宅ローンの毎月の返済額は「元金」の返済と「利息」という2つに分けることができます。元利均等返済というのは「元利」が均等になるような返済方法という意味で、元金と利息を合わせた返済額が毎月同じ(均等)になるように設定された返済方式です。
一方、元金均等返済というのは「元金」が均等になるようは返済方法という意味です。毎月の元金返済額が同じ(均等)になるように設定された返済方式で、そこに残りの元金の利息をプラスして返済していくため、返済開始当初は返済額が大きくなり、徐々に返済額が小さくなっていくという特徴があります。
両者を図にすると以下のようになります。
3,000万円、35年返済、金利1%と仮定して計算します。毎月返済額は
【元利均等返済】ずっと84,686円
【元金均等返済】初回96,369円で少しずつ減っていき、84,686円を下回るのは16年半ほどかかります。
となります。35年の総返済額を見ると、
【元利均等返済】3,557万円
【元金均等返済】3,524万円
となり、元金均等返済の方が33万円ほどお得になります。
元利均等返済のメリット、デメリット
元利均等返済のメリットは毎月の返済額が一定であるという点です(金利が変わらなければという条件付きです。変動金利等で金利が変わる場合には返済額が増えたり減ったりすることもあります)。家計の支出の計画が立てやすいということが言えます。一方、元利均等返済のデメリットは元金均等返済に比べると元利総返済額が増えてしまうという点が挙げられます。
元金均等返済のメリット、デメリット
元金均等返済のメリットの1つ目は、元利総支払額は元利均等返済よりも少なくできるという点にあります。メリットの2つ目としては返済当初の返済額が大きくなり徐々に返済額が小さくなっていくということが挙げられます。
ただしこの点はデメリットにもなり得ます。当初の返済額が大きくなるということは資金計画をきちんと立てずに借りると返済がきつくなってしまうケースもあります。しっかりとしたプランを立てることが必要です。
元利均等と元金均等どちらがよい?
元利均等と元金均等返済の違い、メリット、デメリットをまとめました。どちらがいいの、とよく聞かれますが、これは家計の状況に応じて異なってくるため、一概にどちらがよい、というのは決められません。弊社のような住宅ローンのプロに相談して決めていくのが無難かと思います。
一般論を語れば、元利総支払額を小さくしたいなら「元金均等返済」の方が有利。返済開始当初の返済額が大きくなりますがそれが問題なければ選択してもよいでしょう。子どもが小さいうちは教育費もさほどかからないのでその間に住宅ローンを少しでも多く返済したいという人等には向いています。また子どもがまだおらずに共働きの間に少しでもたくさん返済しておきたいという場合にも元金均等返済は利用できるでしょう。その他には、定年までの期間が短く、定年までの間に少しでも多く返済しておきたいという場合にも元金均等返済は向くかと思います。
一方で元金均等返済の場合の毎月返済額が払えるなら、それと同じくらいの返済額になるように元利均等返済方式での返済年数を短くするというやり方もできます。これができると総返済額はさらに小さくできる場合もあります。家計管理の観点でいえば元利均等返済の方が楽なので、家計の状況やライフプランを考えながら決めていただければと思います。
まとめ:住宅ローンのプロはこう考える
住宅ローンを勉強した人ほど元利均等を元金均等のどちらにするか悩む人が多いですし、住宅ローンにあまり詳しくないファイナンシャルプランナー等はこの違いを説明したがる人も多いです。しかし住宅ローンのプロから見ると、両者の違いはさほど重要ではありません。総返済額で変わったとしても100万円程度の場合が多いからです。それよりも銀行の選択を正しく行うことで200万円前後お得になる場合が多いですし、そもそも住宅ローンの金額を3,000万円にするのか4,000万円にするべきなのか、というところで間違えないことの方が大切な問題です(ここを間違えるのは死活問題ですが、元利均等と元金均等を間違えたところで死活問題にはならない)。迷ったら元利均等、家計の状況を判断して元金均等(や返済年数を短くした元利均等)を選択する、というような姿勢が基本、だと言えるでしょう。
