フラット35の特徴、メリット・デメリット

フラット35は住宅金融支援機構と、民間の金融機関が提携して販売されている住宅ローンです。全期間固定金利タイプで返済年数は最長35年まで設定できます。一般的な銀行で提供されている変動金利タイプや5年固定、10年固定タイプと比べると当初の金利は高めになるというデメリットがありますが、変動金利等とは違い、金利上昇リスク(途中で返済額が増えてしまう危険性)がないのはメリットだと言えます。その他、個人事業主や経営者、転職直後でも組みやすいというメリットもあります。

フラット35の特徴:最長35年の全期間固定金利

住宅ローンには変動金利、5年固定金利、10年固定金利、全期間固定金利といった種類があります(その他にも例えば3年固定金利、7年固定金利、20年固定金利、30年固定金利等もあります)。変動金利というのは6カ月ごとに金利が変わっていく種類の住宅ローンです。つまり6カ月経過後は金利が上昇するリスク(毎月返済額が上昇してしまう危険性)があるということです。5年固定というのは最初の5年間は金利が固定されているが6年目以降は金利が変わるタイプです。6年目以降は金利が上がってしまう可能性があります。10年固定というのも同様に、最初の10年間は金利上昇リスクはありませんが、11年目以降に金利が上がってしまう可能性があるというものです。

フラット35は全期間固定金利です。全期間固定金利というのは返済最初から最後まで金利が変わりません。変動金利や5年固定、10年固定等と違って、金利が途中で上がってしまう危険性はない、というのがフラット35のメリットになります。金利が途中で上がらない反面、当初の金利は変動金利や5年固定金利等と比べると高くなってしまうのです。

2022年、世界的にインフレ、金利上昇という傾向が見られます。金利上昇リスクを回避するため、全期間固定を選びたいという人も増えています。

フラット35の特徴:返済年数20年以下は金利が低くなる

フラット35の返済年数は最長35年まで設定できますが短くすることも可能です。一番短くて15年なので15年~35年の間で自由に返済年数を設定できるということです。返済年数15年~20年にすると金利は低くすることができます。2022年10月を例にすると返済年数21年~35年だと1.48%ですが、返済年数20年以下だと1.32%と低くなります。返済年数20年以下の場合、フラット20と呼ばれることもあります。

金利上昇傾向がある今、全期間固定への住宅ローンの借り換えを行う人が多いです。借り換え前の残りの返済年数が例えば22年8か月でその人がフラット35への借り換えを行う場合を考えます。返済年数が22年ありますのでフラット35の返済年数を22年で設定すれば金利は1.48%になります。フラット35への借り換えの際、返済年数を20年に縮めることも可能なので、返済年数を20年とすると金利は1.32%になります。返済年数を縮める分、毎月返済額が大きくなってしまう可能性もありますが、トータルの支払額を小さくすることができます。家計の状況によってはこのフラット20をうまく使うと賢く借り換えができる場合もあるのです。

フラット35の特徴:銀行によって金利が異なる

2022年10月のフラット35の金利を紹介しましたが、これは「最低金利」です。フラット35の金利は各金融機関が自由に決めることができますが、その最低金利(これ以上下げてはダメという金利)が決められているのです。フラット35をメインに扱っているような金融機関ではその金利を最低金利に設定することが多いです。フラット35の販売にはあまり力を入れないような金融機関では金利を高めに設定するケースもあります。フラット35を利用する場合、金利は金融機関によって異なる、ということは覚えておきたいですね。

フラット35の特徴:保証料0円

住宅ローンを借りる際、金融機関には融資手数料や保証料を払う必要があります。フラット35では保証料はゼロになります。一方で、融資手数料が必要になり、融資額×2.2%(もし3,000万円のローンを借りるならば66万円)というところが多いです。

フラット35の、保証料不要というのは、メリットだと言えるでしょう。ただしフラット35以外にも保証料0円で借りられる住宅ローンはたくさんあります。各金融機関を比較する際は融資手数料や保証料も踏まえた損得を考える必要があるのです。

フラット35の特徴:団信に加入しなくてもよい

住宅ローンを組む際、団体信用生命保険(団信)に加入する必要があります。団信の保険料は、一般的には金利の中に含まれています。フラット35の金利1.48%というのは団信保険料が含まれた金利です。その他、たとえば、2022年10月の三菱東京UFJ銀行の全期間固定金利(35年)タイプの金利は1.64%ですがこちらも金利の中に団信の保険料は含まれています。

健康状態に不安があり団信に加入できない場合、通常の銀行では住宅ローンを借りることはできません。一方、フラット35の場合は団信に加入せずにローンを借りることができます。その場合の金利は2022年10月では1.28%と0.2ポイント下がります。

もちろん、団信なしで借入をするのは危険なので、他の生命保険等でカバーする必要があります。

フラット35の特徴:個人事業主や経営者でも入りやすい

フラット35の特徴として個人事業主や経営者でもローンが組みやすいという点があります。私もコンサルを受けていて個人事業主や法人経営者の場合はフラット35を選ぶことが多いです。

フラット35の特徴:転職直後でもローンが組める

通常、銀行で住宅ローンを借りる際は、勤続年数に条件がつきます。3年以上や1年以上というところが多いですが、フラット35は1カ月でも審査を受けることができます。審査での年収は新しい会社での給与を年換算したものになります。例えば転職して最初の給与が20万円だったとします。その給与明細があれば転職して1か月後でもフラット35の審査を受けられるわけですが、その際の年収は240万円(20万円×12カ月)とみなされます。ボーナスを加味するともっと年収は高いのに、と思う方でも、年収はこのように転職後に実際にもらった給与を年換算し、低くみなされてしまう場合があります。

そういう細かい条件はありますが、転職直後でも住宅ローンを借りられるというのはフラット35のメリットとなります。

フラット35の特徴:物件に条件がある

フラット35は、個人事業主や法人経営者でもローンが組みやすいメリット、転職直後でもローンが組めるメリットがあります。「人」には優しいというメリットがある一方で「建物」には厳しいというのがフラット35のデメリットの1つです。

建物の適合検査というのに合格しなければならないのですが、とはいっても、通常の新築物件であれば検査で不合格になることはないはずです。





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