金利差はどれくらいあればよい? 1%必要?住宅ローン借り換えの目安

住宅ローン借り換えでメリットが出る目安を知りたいという人は多いです。一般的に金利差1%、残高1,000万円以上、残期間10年以上、の条件を満たせばメリットが出るといわれています。借り換えには融資手数料等の費用が発生するため、それらを踏まえ、メリットがあるかの判断をする必要があります。

住宅ローンの借り換えでメリットが出る目安

住宅ローンの借り換えでメリットが出る目安は一般的に金利差1%、残高1,000万円以上、残期間10年以上、の条件を満たすことと言われます。確かに残高1,000万円、残期間10年程度はあった方がよいですが、金利差についていえば、実際に借り換えのサポートをしている弊社での経験からは、必ずしも1%の金利差が必要というわけではありません。感覚的には0.3%~0.5%の差があれば十分メリットが出ると考えられます。

変動金利で考えれば、現在は0.3%台のところが多くなっています。たとえば新生銀行では期間限定のキャンペーン金利ですが0.350%です。0.3%~0.5%の差が出ればよいということは、借り換え前のローン金利が0.7%~0.8%くらいであればメリットが出るのではないかと考えられます。

2016年の前半は変動金利が0.775%というところが多かったです。そこで2016年2月に金利0.775%、35年、5,000万円のローンを組んだ人を考えます。毎月返済額は135,960円、2022年10月末時点での残高は41,382,201円と仮定します。

このローンを2022年11月前半に借り換えると仮定します。借り換え先は新生銀行で、変動金利0.350%(これは2022年10月時点の金利です)に借り換えを行うこととします。融資手数料(融資額の2.2%)、抵当権設定登記や抹消登記、司法書士報酬等の諸費用で140万円ほど必要なので、それらを上乗せした4,260万円を借りることにします。

住宅ローン借り換えに必要な手数料、諸費用についてはこちらで解説しています。

借り換え前の残期間は28年3カ月ですが、新生銀行では年単位で借入期間を設定するので、借入期間は28年とします。4,260万円を28年、元利均等返済で借りると毎月返済額は133,118円、諸費用を含めた28年での支払いは4,482万円となりました。

借り換えのメリットを整理すると次のようになりました。毎月返済額は2,800円程度削減でき、今後28年での支払いは127万円削減できるという計算結果になりました(借換前後の比較を行いので変動金利において金利は変化しないと仮定しています)。残高4,000万円程度、残期間28年程度、金利差は0.425%で約130万円のメリットが生まれることになりました。

金利差0.4%程度の場合の借り換え効果計算結果表
金利差0.4%程度の場合の借り換え効果計算例

次に、金利が0.625%だった場合を考えます。2016年7月ごろは0.625%という金利が多かったはずです。この場合の借り換え効果をまとめると以下のようになります。

毎月返済額では1,800円程度、今よりも増えてしまうことが予想されます。一方トータルの支払いでは40万円ほど得になりますが、これは借入期間が少し短くなるためです。借り換え前は28年8カ月ですが、借り換え後は借入期間が年単位になる(新生銀行の場合)ため28年としました。毎月返済額が増えても、8カ月分期間が短くなる分、トータルの支払いでは削減できるということです。この例の場合、トータルコストの削減額はわずかで、毎月返済額が増えてしまうことになるので、通常なら、借り換えは行わないという判断をする人が多いはずです。

金利差0.3%未満の場合の借り換え効果計算結果表
金利差0.3%未満の場合の借り換え効果計算例

2つの例から見てわかるように、金利差が0.3%未満だと借り換えによるメリットは出ない場合が多く、0.4%程度あれば十分にメリットが出る可能性があると言えます。借り換えでメリットが出る目安としては金利差0.4%程度と考えておきと覚えておいてよいでしょう。2022年10月現在、金利差0.4%があるということは、変動金利で考えるならば、住宅を購入して6年程度経っている人、と言えます。目安として、住宅を購入したのが6年前、2016年以前、であれば借り換えメリットがあると考えてよいかもしれません。

金利差が0.4%なくても、金利差0.3%以上ならとりあえず試算してみるようにしましょう。その際は諸費用等を計算に入れることを忘れないでください。


金利差がなくてもメリットが出る場合も?

借り換え相談を多数行ってきて、金利差がなくてもメリットが出る場合もあることに気づきます。例えば10年固定を借りている人。10年固定金利の商品の中には11年目以降金利がグンと上がってしまうタイプの商品設計になっているものもあります。

あるネット銀行Aの10年固定は2019年9月時点で金利0.590%でした。しかしこの商品は11年目以降金利がグンと上がってしまう設計になっています。これは11年目以降の金利優遇が0.800%に縮小されてしまうため。11年目以降変動金利を選ぶとしその時の基準金利を現在と同じ2.341%(そのネット銀行Aでの基準金利)だと仮定すれば、実際の金利(適用金利)は1.541%(=2.341%-0.800%)となってしまうということです。

みなさんお気づきのように変動金利で1.541%というのはとても高い。2019年9月時点の10年固定0.590%というのはとても低いのですが、その裏には11年目以降の金利優遇が小さくなってしまう=金利が高くなってしまう、というロジックがあるのです。

こういう場合、借り換えをお勧めします。例えば新生銀行の10年固定に借り換えた場合を考えます。2022年10月時点の10年固定の金利は1.0%、11年目以降の金利優遇は0.7%です。11年目以降は変動金利を選ぶものとし、その時の基準金利は今と変わらず1.55%だと仮定します。そうすると11年目以降の金利は0.85%(=1.55%-0.7%)ということになります。

当初10年の金利は1.0%なので、毎月返済額は144,480円ほど。今の返済額131,791円より約12,700円も増えてしまいます。しかし今の銀行Aを続けた場合の11年目以降と比較すると毎月返済額は3,200円ほどの得になります。新生銀行での11年目以降も同様に計算すると結局、トータルでは184万円、借り換えた方がメリットは出るという試算結果になりました。

10年固定の借り換え計算例
固定期間終了後の金利まで含めた10年固定金利の借り換え効果計算例

今回のA銀行のように、固定金利期間の終了後、金利優遇が小さくなって金利がグンと上昇してしまうタイプの場合、借り換えにより現時点では金利が高くなっても借り換えた方がメリットが出ることが多いです。こういったタイプの10年固定になっていないか、自信のない方はチェックしてみるようにしましょう。

まとめ

今回は、住宅ローン借り換えの目安として金利差がどれくらいあればよいのかを中心に検証してきました。住宅ローンの金利差が0.4%以上というのが借り換えでメリットがある目安だと言えます。銀行等にもよりますが、2016年以前に住宅を購入した人は借り換えでメリットがあるかもしれません。現在の変動金利は新生銀行0.350%等、0.3%台になりました。まだ借り換えをしていない人はご自身のローンの状況をチェックしてみましょう。

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