こどもエコすまい支援事業ならZEHで100万円の補助金

2023年から始まるこどもエコすまい支援事業。子育て世帯、若者夫婦世帯がZEHを新築すると100万円の補助金がもらえるというもの。ZEHを建てる場合、フラット35などで金利の引き下げも可能になる等のメリットがあります。こどもエコすまい支援事業ではリフォームの場合も対象とりますが、今回は住宅を新築する場合を中心に概要を説明します。

こどもエコすまい支援事業の対象と補助金額

こどもエコすまい支援事業では、住宅を新築する場合、住宅をリフォームする場合で補助金の対象や金額が異なります。

住宅の新築では子育て世帯、若者夫婦世帯が対象。ZEHの基準を満たす住宅を新築する場合に100万円の補助金が利用できます。「子育て世帯」とは18歳未満の子を有する世帯のことを言い、「若者夫婦世帯」とは、夫婦いずれかが39歳以下の世帯を言います。

※子育て世帯:申請時点において、子(2022年4月1日時点で18歳未満(2004年4月2日以降出生))を有する世帯。

ただし、2023年3月末まで に工事着手を行うものについては、2021年4月1日時点で18歳未満(2003年4月2日以降出生))の子を有する世帯。

※若者夫婦世帯:申請時点において夫婦であり、2022年4月1日時点でいずれかが39歳以下(1982年4月2日以降出生)の世帯。

ただし、2023年3月末までに工事着手を行うものについては、2021年4月1日時点でいずれかが39歳以下(1981年4月2日以降出生))の世帯。

リフォームでは世帯に制限はなく、住宅の省エネ改修等を行うと最大30万円の補助金が利用できます。子育て世帯、若者世帯に該当すると補助金の上限は45万円まで上がります(なお子育て世帯、若者世帯が中古住宅を購入してリフォームをする場合は最大60万円)。

ZEHのメリット

住宅を新築する場合のこどもエコすまい支援事業は、その建物がZEHの基準を満たす必要があります。ZEHとは、ゼロ・エネルギー・ハウスの略。断熱等の工夫で省エネを実現するとともに、太陽光発電等で電気を創り出し、トータルの電気使用量をゼロ以下にすることを目指した省エネ住宅の一種です。

住宅をZEHにするメリットをまとめると以下のとおりです。

ZEHのメリット1:経済性

断熱性能を高める等することで、月々の光熱費を安く抑えることができる。太陽光発電で売電を行った場合は収入を得ることも可能。

ZEHのメリット2:健康性

高断熱にすることで、室温を一定に保ちやすいので夏は涼しく、冬は暖かくなる。急激な温度変化が引き起こすヒートショック(心筋梗塞等の事故)を防ぐ効果もある。

ZEHのメリット3:レジリエンス

台風や地震等の災害で停電になったとしても、太陽光発電や蓄電池を活用すれば電気を使うことが可能。

フラット35 S(ZEH)の金利引き下げが利用できるメリットも

ZEHを購入する場合、住宅ローンの金利引き下げを受けられる場合があるというのもメリットです。たとえばフラット35S(ZEH)の基準を満たすと10年間金利の引き下げを受けられます。当初5年は0.5%の金利引き下げ、6年目から10年目は0.25%の金利引き下げとなります。2023年2月のフラット35の金利は1.88%なので、ZEHを建てる場合、当初5年間は1.38%、6年目から10年目までは1.63%となります。

4,000万円、35年で住宅ローンを組んだとして、金利引き下げを全く受けられない場合と比較します。金利引き下げが全くない場合(4,000万円、35年、金利1.88%の場合)、毎月返済額は130,055円、総返済額は5,462万円です。

フラット35S(ZEH)を利用できると、次のように153万円得をします。

フラット35S(ZEH)を利用した場合のメリット

なおフラット35 Sでは、ZEHに加えて認定長期優良住宅にすることで、当初10年間0.5%引き下げを受けることができます(フラット35S(ZEH。)+維持保全型)。4,000万円、35年で住宅ローンを組んだとして、金利引き下げを全く受けられない場合と比べると、次のように200万円のメリットがあります。

フラット35S(ZEH)+維持保全型(認定長期優良住宅)を利用した場合のメリット





こどもエコすまい支援事業の注意点

こどもエコすまい支援事業を利用する上での注意点として、まず、工務店やハウスメーカーが事業者登録をしている必要があります。住宅を新築する人で、本補助金の利用を考えている人は、施工業者が事業者登録をしているかは確認するようにしましょう。なお、大手ハウスメーカーは事業者登録をしていると考えてしまって問題ないです。関連して、こどもエコすまい支援事業の補助金は、住宅を購入する人自身が申請手続きをするのではありません。工務店やハウスメーカー等が申請手続きを行うので、その点は楽に手続きを進められるでしょう。

2つ目に注意すべき点として、他の補助金等とは併用できないということがあります。こどもエコすまい支援事業以外に補助金を利用している場合、ZEH関連の他の補助金と併用できない場合もあるので、どの補助金を利用すべきか、相談・確認しておきましょう。なお住宅ローン減税とは併用できます

3つ目の注意点としては、こどもエコすまい支援事業の申請は、予算に達し次第、早期に締め切られる可能性がある点です。注文住宅を考えている人は早めに行動を開始した方がよいでしょう。

こどもエコすまい支援事業のスケジュール

注文住宅を新築する場合、2022年11月8日以降に基礎工事より後の工程の工事に着手(工事の請負契約を行った後に行われる工事)するもの、が対象です。また、2023年12月31日までに工事が一定以上の出来高に達した上で交付申請を行い、完了報告も必要となります。

スケジュールが間に合うかは、建築を依頼予定のハウスメーカー、工務店に確認しましょう。スケジュール等によっては別の補助金を利用する必要も出てきます。

こどもエコすまい支援事業の対象リフォーム

以上は、注文住宅を新築する場合のこどもエコすまい支援事業の説明でした。こどもエコすまい支援事業ではリフォームについても補助金対象になりますが、その対象となるリフォーム工事についてまとめておきます。まず、以下①~③のいずれかの工事は必修となります。

①開口部の断熱改修

②外壁、屋根・天井又は床の断熱改修

③エコ住宅設備の設置

ただし、例外として、経済産業省及び環境省が実施する「住宅の断熱性能向上のための先進的設備 導入促進事業等(先進的窓リノベ事業)」又は経済産業省が実施する「高効率給湯器導入促進 による家庭部門のエネルギー推進事業費補助金(給湯省エネ事業)」において交付決定を受けている場合は、①~③のいずれかに該当する工事を含んでいるものとして取り扱います。

次の④~⑧については任意です。

④子育て対応改修

⑤防災性向上改修

⑥バリアフリー改修

⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置

⑧リフォーム瑕疵保険等への加入

まとめ:こどもエコすまい支援事業

今回は、こどもエコすまい支援事業について、新築住宅を建てる場合を中心に解説してきました。ZEHを新築する場合には100万円の補助金が利用できるので、子育て世帯、若者夫婦世帯に該当する場合はぜひ利用したいところ。

住宅をZEHにするにはそれだけ建築費用も高くなるので、ZEHのメリットと費用対効果を考えることが必要ですが、その際はこどもエコすまい支援事業等の補助金についてもきちんと考えておくことが大切です。

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