住宅取得資金贈与の非課税制度2022年最新情報とアルヒスーパーフラット
親や祖父母等から住宅購入資金の贈与を受ける際、最大1,000万円分まで贈与税が非課税になる制度(住宅取得等資金の贈与税非課税措置)があります(2022年、2023年版)。利用できると住宅ローンの金額を減らせ、資金計画は楽になります。アルヒスーパーフラットのように、自己資金の割合が高ければ高いほど金利が低くなる住宅ローンのメリットも受けられるようになります。今回は住宅取得等資金の贈与税非課税措置の最新情報をまとめます。
住宅取得等資金の贈与税非課税措置とは
親や祖父母などから子や孫にお金をあげる場合、本来は「贈与」となり、贈与税がかかります。しかし、住宅を購入するお金(リフォームもOK)を贈与する場合、最大1,000万円まで非課税になる制度があります。
※2021年12月末までは最大1,500万円まで非課税でしたが、2022年1月以降贈与税非課税なのは最大1,000万円までと縮小されました。
厳密には非課税限度額は住宅の種類によって分けられています。
住宅の種類 | 非課税限度額 |
質の高い住宅 | 1,000万円 |
上記以外の住宅 | 500万円 |
※住宅取得等資金の贈与税非課税措置は、2023年12月31日までの贈与が対象となります。
「質の高い住宅」とは、以下3つのいずれかの基準を満たす住宅のことです。
- 断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上であること
- 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物であること。
- 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること
贈与の金額が500万円を超える場合、自分が購入する不動産、建築する住宅が「質の高い住宅」に当たるかどうかは、不動産会社やハウスメーカー、住宅工務店にどちらになるかは必ず確認するようにしてください。
なお、注文住宅を建てる場合で、長期優良住宅の認定を受ける場合には「質の高い住宅」に該当しますので、1,000万円までは贈与税非課税となります。
住宅取得等資金の贈与税非課税措置を利用する上での注意点
住宅取得等資金の贈与税非課税措置を利用する上での注意点をまとめます。
妻の親→夫への贈与は対象外
本制度の対象は、親、祖父母等から子、孫等への贈与のみです。妻の親→夫への贈与等は対象外となります。「妻の親」が資金援助をしたいという場合、妻の親→妻へと贈与を行い、新しい住宅を夫と妻の共有名義にする必要があります。
贈与税は0になっても、確定申告が必要
本制度を利用する場合、資金の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に確定申告をする必要があります。申告書の記入自体はそこまで難しくありません。下記にまとめるように、「質の高い住宅」に該当する場合の必要書類の準備は忘れないようにしましょう。
翌年3月15日までに居住する(または居住するのが確実)であることが必要
贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住することが必要です。注文住宅を建てる場合等にはこの翌年3月15日までに入居できていないこともありますが、その場合は「同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること」に該当すれば問題ありません。ただし、その年の12月31日(つまり、贈与を受けた年の翌年12月31日)までに入居していないと、この特例の適用を受けることはできず、修正申告をして贈与税を払うことになります。
「質の高い住宅」に該当する場合はその証明資料の準備を忘れない
質の高い住宅に該当する場合、確定申告時にそれを証明するための必要書類の提出が必要なので、住宅工務店さん等に取得してもらうよう、事前に話をしておく必要があります。
親の住宅の名義を子に変える等は対象外
贈与税非課税の対象となるのは、住宅購入等の「資金」です。名義が親の住宅を子の名義に変えることも贈与ですが、これは、本制度の対象外(住宅購入「資金」の贈与ではないため)です。結婚して20年以上経つ夫婦間で、住宅の名義を変える(贈与する)か、住宅購入資金を贈与する場合に2,000万円まで贈与税が非課税になる制度、が別にありますが、その制度と混同して勘違いされている方もいるので注意しましょう。
子の所得が2,000万円以上だと対象外
贈与を受ける側(子世帯等)の、贈与を受けた年の所得が2,000万円以下である必要があります。なお、年収2,000万円ではなく所得が2,000万円以下であればOKです 。
住宅取得等資金の贈与税非課税措置のメリット
住宅取得等資金の贈与税非課税措置のメリットをまとめると以下2つになるでしょう。
- 子世帯にとっては住宅ローン金額が減らせるので、資金計画が楽になる
- 親世帯に相続税対策が必要な場合、相続税の節税になる
ここでは1の「資金計画が楽になる」について具体的な数値を基に検証します。贈与を受ける前は5,000万円、贈与後は4,000万円の住宅ローンを組む前提で返済額を比較したのが下表です。借入期間は35年、金利は0.625%で変わらないものとして計算しました。

35年の総返済額は1,114万円の差が出ます。1,000万円の贈与を受けると1,114万円得をするということなので、〇〇家全体で見ると、親から子にお金を移すことで114万円を得するということを意味します。
さらに自己資金が増えると金利が低くなる金融機関もあります。たとえば、アルヒのスーパーフラット。自己資金の割合が1割~5割のどれに当たるかで金利に差が出ます。2022年9月の金利は下表のとおりです。

住宅ローン5,000万円だと、通常のフラット35(買取型)の利用になり、贈与で1,000万円の自己資金を準備できる場合、スーパーフラット8を利用できるとした場合で、返済額を比較すると下表のようになります。

※いずれも2022年9月の金利
ともに、フラット35Sの金利引き下げは0.25%が10年間続くものとし、アルヒスーパーフラットを利用するための他の条件はクリアできているものとします。融資手数料は買取型の場合融資額×1.1%、スーパーフラットの場合融資額×2.2%とします。
この例の場合、1,000万円の贈与を受け、スーパーフラット8の低い金利を使うことで1,338万円の差が出ることになりました。1,000万円の贈与を受けると1,338万円得をするということなので、〇〇家全体で見ると、親から子にお金を移すことで338万円を得するということを意味します。
今回は、2022年の住宅取得等資金の贈与税非課税措置について解説しました。相続税対策が必要な親世帯にとってもメリットがある制度ですし、子世帯だけ見ても資金計画は楽になります。アルヒスーパーフラット等、自己資金が多いほど金利が低くなる住宅ローンが使える場合はさらにメリットが大きくなる可能性もあります。気になる方は我々のような住宅ローンの専門家に相談してみるのもよいでしょう。
