アルヒスーパーフラットと新生銀行ステップダウン金利を比較(2023年3月)

直近住宅ローンの長期固定系金利が上がっており、金利上昇リスクのない、全期間固定金利についての問い合わせを受けることが増えています。全期間固定金利で代表的なアルヒ(ARUHI)スーパーフラットと、新生銀行ステップダウン金利を比較し、それぞれのメリット、デメリットをまとめます。

アルヒスーパーフラット、新生銀行ステップダウン金利を比較

スーパーフラットは、ARUHI(アルヒ)が出している、フラット35保証型商品の1つ。通常のフラット35に比べて金利が低いメリットがあります(自己資金を1割以上入れる必要があるというのはデメリットとも言えます)。自己資金を多く入れるほど金利が低くなる仕組みで、2023年3月の金利をまとめると次のようになります。

必要な自己資金金利
スーパーフラット91割1.95%
スーパーフラット8.51.5割1.95%
スーパーフラット82割1.87%
スーパーフラット7.52.5割1.87%
スーパーフラット73割1.86%
スーパーフラット6.53.5割1.86%
スーパーフラット64割1.85%
スーパーフラット55割1.84%
アルヒスーパーフラットの金利 2023年3月

新生銀行ステップダウン金利も全期間固定金利の代表的な商品ですが、スタート時点の金利から、一定期間を経過するごとに少しずつ金利が低くなっていく特徴があります。2023年3月の金利では、借入期間35年の場合、1.7%からスタートして、11年目以降は5年毎に10%ずつ低くなっていきます。スタート時点の金利1.7%はそこまで低くは見えませんが、35年トータルで見た時の実質的な金利は低くなるというのがメリットです。

期間金利
当初10年1.70%
11年目~15年1.53%
16年目~20年1.36%
21年目~25年1.19%
26年目~30年1.02%
31年目~35年0.85%
新生銀行ステップダウン金利 借入期間35年の場合

アルヒスーパーフラット、新生銀行ステップダウン金利の1年間の推移を比較

2022年12月に日銀が政策変更を発表し長期金利が上昇、2023年になって住宅ローンの全期間固定金利も上昇しました。2022年1年を通してみても、長期金利はじわじわと上昇(特に春ごろに上昇)した影響で、2022年のフラット35の金利が上昇しました。

そこで、アルヒスーパーフラットと新生ステップダウン金利がこの1年でどのくらい上昇してきたのかをまとめます。スーパーフラットはたくさんありますが、ここではスーパーフラット8を代表として取り上げ、ステップダウン金利はスタート時点の金利(2023年3月なら1.7%)を取り上げ、比較します。通常のフラット35(借入期間21年以上の場合)の金利もグラフに入れました。

アルヒスーパフラット8、新生銀行ステップダウン金利の推移
アルヒスーパフラット8、新生銀行ステップダウン金利の推移

スーパーフラットは通常のフラット35同様、この1年は上昇傾向が見られます。新生銀行ステップダウン金利も1年を通してみれば上昇傾向ですが、上昇幅はスーパーフラットに比べると小さいといえます。そのため2022年の2月頃は、ステップダウン型よりもスーパーフラットの方が金利は低かったですが、2023年現在は、新生銀行ステップダウンの方がスーパーフラットよりも金利は低いです。

アルヒスーパーフラット8と新生ステップダウンの返済額を比較

では、スーパーフラットと新生銀行ステップダウン金利ではどちらが有利なのか。今回は4,000万円を35年で借りるケースで考えます。アルヒは自己資金2割を入れ、スーパーフラット8を使うものとし、フラット35Sの金利引き下げは当初5年▲0.5%、6年目~10年目▲0.25%とします。2023年3月のスーパーフラット8の金利は1.87%なので、当初5年は1.37%、6年目からは1.62%、11年目から1.87%になるという仮定です。

返済額を比較する際は、融資手数料や保証料等の費用も併せて比較する必要があります。新生のステップダウン金利は、融資手数料165,000円となります。なお、新生銀行では変動金利や固定期間選択型金利(10年固定など)では、融資手数料定額55,000円のプランもありますが、ステップダウン型金利は165,000円です。

アルヒスーパーフラットについては融資額の2.2%とします。アルヒではアルヒダイレクトを使うと融資手数料は、融資額×1.1%にできる割引がありますが、スーパーフラットはその対象外です。

スーパーフラット8と新生銀行ステップダウン金利の返済額比較
アルヒスーパーフラット8と新生銀行ステップダウン金利の返済額の比較 4,000万円、35年

まとめ:2023年3月では、新生銀行ステップダウンの方が有利

今回は新生ステップダウン金利とアルヒスーパーフラットを比較し、どちらが有利かを検証してみました。今回の例では新生銀行ステップダウンの方がアルヒと比較してお得、という結果になりました。

今回は35年、4,000万円で比較計算していますが、借入金額や借入年数によってはどちらにメリットがあるかは、変わってきます。また、ここ数カ月は新生銀行のステップダウン金利のスタート金利の方がアルヒスーパーフラットの金利よりも低くなっていますが、1年前は逆転していたように、ローンを借りる時期とその時の銀行の方針によっても有利不利は変わってくる可能性もあります。融資実行時点で有利な金融機関を選べるように複数社の審査に通しておいた方がよいでしょう。

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