ARUHIスーパーフラット8のメリット、デメリット、注意点
マイナス金利導入後、全期間固定タイプの住宅ローン金利が下がり、弊社にも全期間固定を利用したいという相談が増えています。フラット35は全期間固定の代表的なものですが、そのフラット35を扱う銀行の中でもARUHI(アルヒ)の「ARUHIスーパーフラット」というフラット35が人気です。今回は住宅ローン相談歴10年の専門家がARUHIスーパーフラットのメリット、注意点を解説します。ARUHIスーパーフラットには「ARUHIスーパーフラット8」と「ARUHIスーパーフラット9」とがあります。ここでは「ARUHIスーパーフラット8」についてまとめます。
※2017年11月20日に記事を更新、商品の改正点、フラット35の改正点等を反映させました。
ARUHIスーパーフラットとは
「ARUHIスーパーフラット」は、モーゲージバンクARUHIが出しているフラット35です。通常の銀行で扱われているフラット35は「買取型」が一般的であるのに対し、ARUHIスーパーフラットは「保証型」のフラット35であるという特徴があります。
一般的なフラット35は「買取型」です。買取型のフラット35の場合、住宅金融支援機構が各銀行から住宅ローン債権を買取ります。一方フラット35「保証型」は自行で債権を保有した、自社ローンであるという点が違います。なおフラット35「保証型」では各銀行が提供する住宅ローンについて利用者が返済できなくなった場合は、各銀行に対して住宅金融支援機構が保険金(=ローンの残高)を払う、という仕組みになっています(保険金支払後は、住宅金融支援機構が住宅ローン債権を取得)。フラット35「保証型」は現在ARUHI(アルヒ)と日本住宅ローンの2社のみが扱っています。
ARUHIスーパーフラット8のメリット
ARUHIスーパーフラット8のメリットをまとめると以下のようになります。
- 通常のフラット35より金利が低くなる
- 手数料体系や、フラット35S等の金利引下げ等の条件も通常のフラット35と同じ
ARUHIスーパーフラット8のメリットの1つ目は「通常のフラット35より金利が低くなる」という点です。フラット35は最低金利が決められていて2017年11月は1.37%。そんな中ARUHIスーパーフラットの金利は1.27%と0.1ポイント低くなっています(共に団信加入の場合)。最低金利を下回る金利が出せるのは上でも見たように「保証型」のフラット35のためです。ARUHIスーパーフラット8の利用条件として「自己資金が2割以上」というものがありますがこれを満たせば最低金利を下回る金利でフラット35が利用できるのです。
ARUHIスーパーフラット8のメリットの2つ目は、手数料体系や、フラット35S等の金利引下げ等の条件も通常のフラット35と同じであるという点です。フラット35を使って一定の条件を満たした住宅を購入する場合、フラット35Sが使え、当初5年または10年、0.25%の金利引下げが受けられます(2017年11月現在)。金利引下げ期間はAプランは10年間、Bプランは5年間です。フラット35リノベが使えると0.6%の金利引下げを10年間受けられます。フラット35Sの金利引下げやフラット35リノベ等が使えると金利引下げを受けることができますが、ARUHIスーパーフラット8でもこれらの金利優遇が使えるのはメリットの1つだと言えます。
ARUHIスーパーフラット8のデメリット、注意点
ARUHIスーパーフラット8のデメリット、注意点をまとめると以下のようになります。
- 自己資金が2割必要
- 他の銀行の全期間固定金利の方が有利になる場合もある
- 保留地には使えない
- 借り換えには使えない
ARUHIスーパーフラット8のデメリット、注意点としてはまず、自己資金が2割以上必要であるという点が挙げられます。自己資金があまりない人にとっては他の銀行の全期間固定金利の方が金利は低くなる可能性が高いです。
ARUHIスーパーフラット8のデメリット、注意点の2つ目は、他の銀行の全期間固定金利(や30年固定等の長期固定金利)の方が有利になる場合もあるという点です。マイナス金利導入後、全期間固定金利を下げてきた銀行が多く、2017年11月時点では、三井住友信託銀行の30年固定やみずほ銀行等の全期間固定金利が比較的低いです。これらの銀行の全期間固定タイプの金利、手数料、保証料、団信保険料等を総合的に比較する必要があります。また自己資金の額やつなぎ融資の有無等、細かな条件設定によっても有利な銀行は変わってきます。これらの試算は一般の人には難しいです。弊社の有料住宅ローンコンサルティングでは金利の低さだけではなく他の様々な条件も加味して各銀行の比較を行っています。
ARUHIスーパーフラット8の注意点の3つ目として保留地には使えないという点が挙げられます。保留地というのは区画整理事業の一環でできる特殊な土地で、新しい街づくりをしている地域ではたまに出会う土地です。一般的なフラット35は保留地もOKなので、我々住宅ローンのプロとしては保留地と言えばフラット35を使うことが多いのですが、このARUHIスーパーフラット8は使えないのです。
ARUHIスーパーフラット8の注意点の4つ目として、住宅ローンの借り換えには使えないという点が挙げられます。借り換えで全期間固定がいい場合は上記みずほ銀行や三井住友信託銀行等を使うことが多いです。
※なお、以前は、日本住宅ローンのMCJフラットプレミアムが使える場合はそちらが有利になる場合もある、ということで、この点も注意点として挙げていました。2017年11月の金利は1.27%とARUHIスーパーフラットと同じ金利になっています。MCJフラットプレミアムは日本住宅ローンが出しているフラット35保証型で、積水ハウス、大和ハウス、住友林業、セキスイハイムで家を建てる場合のみに使える商品です。
ARUHIスーパーフラット8には以上のようなメリット、デメリットがありますが、新しく住宅ローンを組む人で自己資金が2割以上あり、全期間固定金利を望む場合は選択肢として検討しておくべき住宅ローンだと言えるでしょう。
