10年固定金利、PayPay銀行、新生銀行、みずほ銀行で比較
2022年12月に日銀が政策変更を発表し長期金利が上昇、2023年になって住宅ローンの10年固定金利も上昇しました。今回はPayPay銀行、新生銀行、みずほ銀行の10年固定を比較、メリット、デメリットを考えます(2023年2月の金利で計算、比較します)。
10年固定金利の比較では新生銀行が最も低いが
2023年2月のPayPay銀行の10年固定は1.19%。新生銀行10年固定は1.05%でみずほ銀行は1.40%。比較してみると新生銀行が最も低く、PayPay銀行、みずほ銀行と続くように見えます。しかし実際のランキングでは必ずしもこの順番にはなりません。その種明かしを本コラムでは行います。
10年固定金利の正しい比較では11年目以降の金利が大事
10年固定金利を選ぶときに注意すべきなのは11年目以降の金利がどうなるのか、という点です。もちろん10年経過した、その時にならないと分からないのですが、現時点でも「金利優遇」がどうなるか、は分かります。
住宅ローンの金利は
基準金利(定価の金利)-金利優遇(値下げ幅)=適用金利(実際の金利)
という関係になっています。 住宅ローンの契約を行う際、11年目の金利優遇がどうなるかの取り決めも行われます。みずほ、PayPay銀行、新生銀行のHPを参考に10年固定金利を選んだ際、11年目以降の金利優遇がどうなるかまで調べてみると次のようになりました。
PayPay銀行10年固定金利の特徴
PayPay銀行の10年固定金利は1.19%です(2023年2月の最優遇金利)。10年固定の基準金利は3.09%、当初10年は金利優遇(金利引き下げ)が▲1.9%。3.09%-1.9%=1.19%という関係です。
10年経過後の金利優遇は変動金利を選ぶ場合▲1.4%となっています。PayPay銀行10年固定金利での金利優遇(値引き)は、当初10年は1.9%ですが11年目から1.4%になるということです。

11年目以降、変動金利を選ぶとしてその時の基準金利がいくらか、は分かりませんが、仮に今と同じ2.28%とすると、適用金利は0.88%(2.28%-1.4%)になります。これは現時点でのPayPay銀行の変動金利0.349%と比べるとだいぶ高く感じるのではないでしょうか。
みずほ銀行10年固定金利の特徴
みずほ銀行の10年固定金利は1.4%です(2023年2月の最優遇金利)。10年固定の基準金利は3.5%、金利優遇(金利引き下げ)が▲2.1%。3.5%-2.1%=1.4%という関係です。
みずほ銀行の10年固定には、金利優遇の幅はずっと変わらない(ずっと▲2.1%)という特徴があります。現時点でも2.1%の金利優遇ですが11年目以降に変動金利を選んだとしても2.1%の金利優遇が続きます。

11年目以降、変動金利を選ぶとしてその時の基準金利がいくらか、は分かりませんが、仮に今と同じ2.475%とすると、適用金利は0.375%(2.475%-2.1%)になります。現時点のみずほ銀行の変動金利は0.375%で同じ。上のPayPay銀行と比較して分かるように、10年固定→変動としても、基準金利が同じならば、今と同じ変動金利の値(0.375%)になるというのがみずほ銀行10年固定金利の特徴、メリットだと言えます。
新生銀行10年固定金利の特徴
新生銀行の10年固定金利は1.05%です(2023年2月の最優遇金利)。10年固定の基準金利は2.25%、金利優遇(金利引き下げ)が▲1.2%。2.25%-1.2%=1.05%という関係です。
10年経過後の金利優遇は変動金利を選ぶ場合▲0.7%となります。金利優遇(値引き)は、当初10年は1.2%ですが11年目から0.7%になるということです。PayPay銀行と同じ、金利優遇が途中で小さくなるタイプと言えます。

11年目以降、変動金利を選ぶとしてその時の基準金利がいくらか、は分かりませんが、仮に今と同じ1.55%とすると、適用金利は0.85%(1.55%-0.7%)になります。これは現時点での新生銀行の変動金利0.42%(事務手数料定額タイプだと0.65%)と比べると高くなります。
融資手数料が低いのが新生銀行のメリット
なお、銀行間の比較では金利だけでなく、融資手数料や保証料についても考慮して総合的に判断する必要があります。
PayPay銀行の融資手数料は融資額の2.2%、みずほ銀行も融資手数料型では融資額の2.2%、新生銀行の融資手数料は10年固定の場合、定額で55,000円となります(現在はキャンペーンのため融資手数料はさらにお得で0円)。
融資手数料が定額で安い(現在は期間限定でゼロ)というのは新生銀行のメリットです。
金利優遇や融資手数料まで踏まえて比較したランキング
10年固定金利の比較では11年目以降の金利優遇や融資手数料まで踏まえて考えることが大切。弊社のコンサルティングではそれらを踏まえたランキングを提供しています。
今回のテーマであるPayPay銀行、新生銀行、みずほ銀行の10年固定金利を比較してみたところ次のようになりました。借入額4,000万円、借入期間35年で計算し比較しています。

総返済額+融資手数料(表の一番右)で比較すると、最も低いのは新生銀行、次いでみずほ銀行、PayPay銀行の順になりました。
総返済額(A)だけで見ると、新生銀行10年固定金利はみずほ銀行に負けます。11年目以降の金利はみずほより高めになってしまうからです。しかし、融資手数料が低い分、総合的に比較すると新生銀行の方が有利ということになります。10年固定金利1.19%とみずほよりも低く見えるPayPay銀行は11年目以降の金利優遇が小さくなるため、みずほと比べてもかなり見劣りすることが分かります。

まとめ:10年固定金利の比較では11年目以降の金利優遇が大事
新生銀行やPayPay銀行のように、11年目以降の金利優遇幅が小さくなる銀行と、みずほ銀行のように金利優遇幅がずっと同じ銀行とがあります。10年固定金利を選ぶ際は、単純に見た目の金利の低さだけを見るのではなく、11年目以降の金利優遇幅はいくらなのか、を必ず確認する必要があります。
比較のためには、11年目以降、変動金利を選ぶものとし、その時の基準金利を今と同じだと仮定して、実際の金利がいくらになるかを計算して検証するとよいでしょう。また、融資手数料や保証料などの費用も必ず確認し、計算するようにしましょう。
10年固定金利を正しく比較したランキングについては「10年固定ランキング2022年11月金利」で詳細に解説していますので、参考にしていただけると幸いです。
