住宅ローンの金利には「店頭金利」(「基準金利」)と呼ばれるものと「適用金利」と呼ばれるものの2種類があります。これらを理解しないまま住宅ローンを借りる人が多いですが、意外とこの違いは重要です。しっかり理解しておきましょう。

店頭金利と適用金利

住宅ローンの金利には「店頭金利」(「基準金利」)と呼ばれるものと、「適用金利」と呼ばれるものの2種類がある、ということは覚えておいてください。「店頭金利」「基準金利」とは「定価」の金利を指し、「適用金利」は「値引き後の金利」です。店頭金利から金利の優遇をして(値引きをして)、実際に使われる金利が「適用金利」という関係です。

例えば東京三菱UFJ銀行の変動金利(2016年11月現在)は0.625%です。これは「店頭金利」2.475%から1.85%優遇(値引き)をして0.625%まで金利を下げている、ということなのです。

楽天銀行の変動金利は「基準金利」が1.157%で、「適用金利」が0.507%、10年固定金利は「基準金利」が1.579%で「適用金利」が0.929%となっています(2016年11月)。

住信SBIネット銀行の変動金利は「基準金利」2.775%、「適用金利」0.497%(自己資金20%以上の場合や借り換えの場合)となっています(2016年11月)。

なぜ2つに分けるのか?

以上のような話をすると、2.475%から1.85%引いて0.625%にするなら、最初から0.625%と金利を決めればいいじゃないかと思う人もいらっしゃるでしょう。ではなぜ定価の2.475%から値引きをするという面倒くさい方法を取るのでしょうか?

理由の1つ目としては、0.625%というのは最も優遇した金利のことなのです。例えば自営業等で収入に不安があるというような場合には0.775%だったり、0.875%だったりともっと高い金利になることがあります。例えば楽天銀行のホームページを見ると、変動金利では「基準金利」が1.157%で、「適用金利」が0.507%~1.157%と書いてあります。条件によっては優遇幅が小さくなったり優遇がなくなったりする場合もありますよ、ということを意味します。

基準金利と適用金利の2つある理由のもう1つは、値引き後の金利(適用金利)はいざとなったら定価(店頭金利、基準金利)に戻すことができる、という点も挙げられます。住宅ローンの契約書類をよく読むと、返済に延滞があった場合、金利優遇がなくなる、というようなことが書いてある場合もあります。弊社は住宅ローンの借換えコンサルティングも行っていますが、住宅ローンを延滞し金利が高くなってしまったので借換えしたい、という相談も多いです(ちなみに、住宅ローンを延滞すると最低1年間は借換えできないのです)。

以上のような理由から、基準金利(店頭金利)から金利引下げをして適用金利を決める、という面倒くさいことをやっているわけです。

全期間固定では金利が1種類のみの場合も

住宅ローンでは基準金利(店頭金利)と適用金利の2種類があります。ただし全期間固定金利の場合これら2つの金利がなく基準金利=適用金利となっている場合もあります。例えばフラット35の金利1.03%(2016年11月)というのは基準金利(店頭金利)であり適用金利でもあります。金利の優遇等はありません(フラット35Sやフラット35リノベによる金利引下げはありますが)。ちなみに基準金利=適用金利であるフラット35は延滞しても金利が変わらない、とも言えます。

一方、住信SBIネット銀行では35年固定は基準金利3.5%、適用金利1.15%(金利の引下げが2.35%)となっています。全期間固定金利でも、基準金利と適用金利と2つの金利がある場合もあります。

まとめ

以上のように、住宅ローンの金利には店頭金利(基準金利)と適用金利の2種類があります。大手都市銀行では変動金利の店頭金利は2.475%です。よく「変動金利の金利は短期プライムレート(短プラ)に連動する」と言われますが、短プラに連動するのはこの「店頭金利」なのです。ちなみにこの2.475%というのはこの7年ほど変わっていません。一方、そこから金利引下げをした適用金利は、少し前は1.275%や1.075%でした。それが0.975%、0.875%、0.775%と下がり今では0.625%となっていますが、これは店頭金利が下がったわけではなく、金利引下げ幅が大きくなったということなのです。つまり、銀行間の金利引下げ競争の結果という意味合いが強いと考えられます。マイナス金利時代、金利引下げ競争も限界に近づいていると言えます。それを考えるとマイナス金利時代の今、住宅ローンを組むチャンスであると言えるかもしれません。

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